陸前高田プロジェクト2022年度体験談
岡本 香純さん(理学部生命理学科2年次)
2022/10/21
RIKKYO GLOBAL
OVERVIEW
陸前高田市の方々と立教生、海外大学生が共に考えるプログラム「陸前高田プロジェクト」。2022年度は、3年ぶりに現地のフィールドワークを伴う形で実施することができました。
参加者のひとり、岡本香純さん(理学部生命理学科2年)にお話を伺いました。
「陸前高田プロジェクト」は、東日本大震災の被災地である岩手県陸前高田市でフィールドワーク(4泊5日)を行い、同市のこれまでの歩みや現状、課題を共有し、陸前高田市の方々や参加者全員が共に様々な問題について考えるプログラムです。2013年度にパイロットプログラムをスタートし、以降正課科目として継続して実施しています。2020年度、2021年度はCOVID-19の影響を考慮しオンライン形式で実施しましたが、2022年度は3年ぶりに海外学生が来日し、立教生とともに陸前高田市を訪問することが叶いました。参加学生は立教大学に加え、スタンフォード大学、ボストン大学、キーン大学、サンタクララ大学(以上アメリカの大学)、および香港大学から、専攻や学年も様々に計16名が集まりました。
取り組んだテーマは、過去2年に続き「陸前高田市の歩みから持続可能な都市について学び、地方都市が持続可能な都市となるために自分たちにできることを考えよう——SDGs Goal 11「住み続けられるまちづくりを」 の視点から——」です。
陸前高田市におけるフィールドワークでは、震災遺構や2021年に完成した復興祈念公園、津波伝承館および現在の市内の様子等を視察しました。また、市役所の都市計画課や市で事業を営む複数の方々にご協力いただき、これまでの歩みや現在取り組んでいらっしゃる事柄についてのお話をうかがいました。参加学生は、ご経験に基づき様々な角度から語られる示唆に富んだお話や意見交換、日々の振り返りを通して自身の考えを深めました。
最終日に立教大学で行った報告会には、陸前高田市でお話いただいた皆さんにもオンラインでご参加いただきました。テーマのSDGs Goal 11「住み続けられるまちづくりを」を考えるにあたり、グループごとに特に注目する観点を4つ(包摂性[inclusive]/安全性[safe]/回復力[resilient]/環境の持続可能性[environmentally sustainable])の中から1つ選び、これをベースに考えた内容をまとめ、報告会参加者全員で共有しました。
陸前高田市におけるフィールドワークでは、震災遺構や2021年に完成した復興祈念公園、津波伝承館および現在の市内の様子等を視察しました。また、市役所の都市計画課や市で事業を営む複数の方々にご協力いただき、これまでの歩みや現在取り組んでいらっしゃる事柄についてのお話をうかがいました。参加学生は、ご経験に基づき様々な角度から語られる示唆に富んだお話や意見交換、日々の振り返りを通して自身の考えを深めました。
最終日に立教大学で行った報告会には、陸前高田市でお話いただいた皆さんにもオンラインでご参加いただきました。テーマのSDGs Goal 11「住み続けられるまちづくりを」を考えるにあたり、グループごとに特に注目する観点を4つ(包摂性[inclusive]/安全性[safe]/回復力[resilient]/環境の持続可能性[environmentally sustainable])の中から1つ選び、これをベースに考えた内容をまとめ、報告会参加者全員で共有しました。
参加体験談(岡本 香純さん)
今回のプログラム参加の動機を教えてください
東日本大震災について深く知りたいと思ったからです。震災が起きた当時私は小学2年生と幼く、将来的に私たちは震災を語り継いでいく最後の世代になるのではないかという思いがありました。しかし、自分が大きな被害を経験したわけでもなく、伝える側になれるほど自分は震災について何も知らないということを感じていたため、実際に経験された方々から直接お話を聞くことができる、その土地に行って自分の目や耳で感じることができるこの機会はとても貴重だと思いました。プログラム中に特に印象に残ったことを教えてください
陸前高田市の震災遺構である気仙中学校を見学したことが特に印象に残っています。天井まで上がってしまった椅子や津波が来た時刻で止まった時計、何度も津波が行き来したことで曲がった扉など、津波の恐ろしさを実感するものが本当にたくさんありました。黒板の字が消えずに残っているのを見て、震災が起きる瞬間までそこにはごく当たり前の日常があったのだなと感じ、一瞬で生活が一変する怖さと何気ない日常の尊さを痛感しました。
プログラムのテーマに関して、考えたことを教えてください
お話を聞かせていただいた地元の方はみなさん「小さなできることからはじめて、それを積み重ねていくことが大事。そうやってやっと大きなことができる。」とおっしゃっていて、まちづくりというのは地域の人々の小さな努力が集まって、長い時間をかけてできていくものなのだということを知りました。学生同士では都市部や若者の地域離れのことを考え、「地域のことに無関心にならず自分ごととしてとらえることが大事だと思うけれど、なかなか難しいね」という話になり、どのようにすれば地域参加を促せるのかという課題も見つけることができました。
陸前高田プロジェクトは国際交流×地域交流のプログラムです。このプログラムならではの学びや達成できたことがあったと思うことがあれば教えてください。
私のグループでは「住み続けられるまちづくりを」というテーマに対して「地域の包括性(inclusive)」という観点から学びを深めました。国際交流×地域交流という部分では、地元の方のお話を聞いたり、実際にまちを歩いたりすることで陸前高田市のまちづくりや復興について知ることができたのはもちろん、海外から参加した学生たちとお互いの地域についても共有、比較しあうことでより多面的に学ぶことができたのではないかと思います。自分とは全く異なるバックグラウンドを持つ学生からの意見には驚かされることも多々あり、私自身ももっと広い視野を持ちたいと感じました。
陸前高田プロジェクトでの学びや得たものを今後どのように活かしていきたいと思いますか。
プログラムの中で自分のリーダーシップは何かを考える機会がありました。「リーダーシップを持つことと、『リーダー』であることとは違う」という私にとって新しい視点に出会い、自分自身について見つめ直すことができました。謙虚さが美徳とされる日本では自分の良い面について話すことを躊躇ってしまいがちですが、プログラムを通して自分に自信を持つことは謙虚さに相反するものではないと思うようになりました。自信を持つことで他者への理解や尊重する気持ちも高まるということも体感し、自分を知ることがコミュニケーションの基本になるのではないかと思いました。今後様々な人と関わる中で、意見の衝突やすれ違いが起きてしまうこともあるかもしれませんが、この学びを活かして、自分の軸を持ちながら相手のことを尊重できる人でありたいと思います。
今後、陸前高田プロジェクトへの参加を考えている学生に向けて、メッセージをお願いします。
私は英語で話すことに苦手意識があり、最初はついていけるだろうかと不安な気持ちでいっぱいでした。しかし、少しの勇気を出して参加をしてみたら想像していた以上のすてきな出会いとたくさんの学びや思い出を得ることができました。何かに挑戦するワクワク感や達成できたことから来る自信は行動しなければ経験できません。もし少しでもやってみたいと思ったら一歩踏み出してみてください。
多くの方にご協力いただき無事対面で実施することができた今年度のプログラム。実際に陸前高田市を訪れ、自分の目に映像を焼き付け、目の前にいる方の話を拝聴し、仲間とともに感じ、考え、共有した時間は、その後の人生にも影響を与える経験となったでしょう。参加した学生たちの振り返りでは、おうかがいしたお話の中で印象に残った言葉がいくつも挙げられ、多面的なアプローチによりそれぞれにとって異なる気付きが得られたことも分かりました。プログラムにご協力いただいた陸前高田市の皆様に厚く御礼申し上げます。
本プログラムの様子はグローバル教育センターホームページにもまとめておりますのでぜひご覧ください。
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
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