公開講演会「日本とボリビアの絆 移住と国際協力から見る関係史」
INFORMATION
1899年にペルーからボリビアに転住した日本人移民93名を嚆矢として、ゴム産業で興隆したボリビア?アマゾン地域への日本人移住が20世紀初頭に始まった。北部ベニ県のリベラルタに集住した日本人は、日本人協会を立ち上げ、地元社会との共生を試みた。その後、ゴム産業の衰退とともに日本人移民は各地に拡散したが、第二次世界大戦後、サンタクルス県にサンファン移住地とオキナワ移住地が創設され、同移住地への支援からボリビアへの国際協力や日系人支援が活発になった。1980年以降は、オキナワ移住地から横浜市鶴見区などへの日系人の逆流現象も起きている。彼らは地域コミュニティを支え、多文化共生の推進役としても活躍している。本講演会では3人の講演者が、移住と国際協力から見た日本とボリビアの100年にわたる関係を解説する。
講師
本学ラテンアメリカ研究所研究員
大島 正裕(おおしま まさひろ) 氏
2006年、青山学院大学大学院博士課程文学研究科史学専攻単位取得退学。2001~2004年、在グアテマラ日本国大使館専門調査員。2006年から一般財団法人日本国際協力システムに勤務。2014~2017年、在ボリビア日本国大使館一等書記官(開発協力班)。明治大学島嶼文化研究所客員研究員及び青山学院大学非常勤講師。専攻は、ラテンアメリカ近現代史、日本人移民史。編著書に『ボリビアを知るための65章』(明石書店、2025年)。論文に「1910~20年代前半のボリビア?リベラルタにおける日本人協会の機能と課題-「リベラルタ日本人協会議事録」の分析を中心にして」、『立教大学ラテンアメリカ研究所報』第53号(近刊)。「ボリビア?リベラルタとともに生きた日本人-下瀬甚吉-」で第五回JICA海外移住「エッセイ?評論」部門最優秀賞受賞。
国際協力機構(JICA)海外移住資料館 副館長
小原 学(おはら まなぶ) 氏
2008年LEEDS大学国際学修士。JICAボリビア事務所に計7年間勤務。2018~2022年にボリビア事務所長、2022~2025年中南米部長を務めた後、2025年から海外移住資料館副館長。2021年にはオキナワ移住地と沖縄県の経済関係強化を図る「OKINAWA TO 沖縄」プロジェクトを推進。2022年にボリビアアキノ大学(UDABOL)から名誉博士号授与。2024年には「海外移住とJICA~戦後の海外移住に関わった組織?事業?ひと~」を編集。
関東学院大学社会学部准教授
藤浪 海(ふじなみ かい) 氏
2012年より横浜市鶴見区の移民支援団体(NPO法人ABCジャパン)で、また2016年より横浜?鶴見沖縄県人会で活動。日本学術振興会特別研究員DC1?PDを経て現職。博士(社会学?一橋大学)。専門は国際社会学?移民研究。近年の論文に、「沖縄ディアスポラと〈ウチナーンチュ〉の条件——第7回世界のウチナーンチュ大会参加者への調査票調査から」『人文科学研究所報』48号(2025年)、「沖縄系としての生活史と「定住」の模索——横浜市鶴見区の南米系移民の事例から」『JICA横浜海外移住資料館研究紀要』18号(2024年)、「越境する生活史と当事者支援——在伯ウチナーンチュ?在日ブラジル人女性としての経験を読み解く」『移民研究』19号(2023年)など。